古川日出男 / 聖家族

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今はこれを読書中。

サイケデリック・スピリッツ・ロック。だな
700頁で2段組みというものすごいボリューム(見た感じ辞書みたいな質感)なのて読むのにも体力が要りますが、それだけの読み応えのある本です。

4087712559聖家族
古川 日出男
集英社
2008-09

by G-Tools


古川日出男って、気になる存在だったんだけれども作品には入り込めなかった。今までは。
そのものずばり「ロックンロール七部作」なんていう著作もあったし、絶対にロックな人だよな(だからZAZEN BOYSの傑作「4」に寄稿しているのを発見した時にはものすごくナットクしてますます気になった)と思いつつ、リズムを刻むような独特の文体(それがロックを感じる要素なのだけれども、肝心要のその要素)に入り込めなかった。「ベルカ」は未だに放置中だし。

本作「聖家族」もすさまじいリズム感なのだけれども、冒頭からスーっと入っていけた。のは何故だろう。リズムの種類が変わったのかな?舞台が馴染みのある東北だから?
一度ハマってしまうとこのリズム感が気持ち良くてクセになる。150頁ほど読んだところだが、まだ3/4以上も残ってる。どういう展開になるのか見当もつかない。たのし。

公式サイト
http://www.shueisha.co.jp/furukawa/
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古川日出男 / 聖家族

古川日出男 / 聖家族 2009.01.20 Tuesday [読書] comments(0)
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職業欄はエスパー / 森達也

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頁を捲る手が止まらず一気読みしてしまった。スプーン曲げの清田益章、UFOの秋山眞人、ダウジングの堤裕司という超能力者3者3様の在り方が非常に興味深い。そして森達也の著作に何度も出てくるメディアへの懐疑、ドキュメンタリーに対する姿勢、なにより物事へのアプローチの仕方というものが、地下鉄サリン事件をはさみ8年間にわたるこの取材過程(もちろんその間には『A』もある)の中で方向付けられたことがわかる。毎度ながらこの人の視点には共感できる。取材対象を撮りながら、自ら煩悶し続けるといういつものアレだが、ただ今回に関しては少し無理矢理拒否している部分が見えるようにも思える。文庫版あとがきの最後の最後の一言が結局は全てだったんじゃないかと思う。なのに「信じてませんよ」の一言が痛々しい。後々の著作を読めば、拒否反応の理由は今や森さん自身も分かってるんじゃないだろうか。




超能力やUFO、超常現象や奇跡とかスピリチュアルとかなんでもいいんだけど、こういう話って「有る無し論」になってしまう。要は信じるか信じないかという事なんだけれども。森さんはずっとその間を反芻しているわけだ。でもこの「有る無し論」自体が非常に演出的というかテレビ的というか、不毛な論議だよなと思う。特に否定する側の反応がとかく感情的になりすぎる。森さんが指摘する大槻教授のように、過剰にヒステリックで頑な拒否反応(大槻教授の場合はテレビ的な演出が多分に含まれているにせよ)が多いと思う。一言で言うと「騙されないぞ!」ということに尽きる。わたしは騙されないからね、みんなも騙されないように、と。

さて、ここで僕は思う。そもそも「騙される」ってどういうことなんだろうか。たとえばスプーン曲げの超能力がトリックだったとして、誰かが不幸になるだろうか。森さんの言うように、年端もいかない少年に対して目くじらを立てて怒るほどのことだろうか。「騙された」「騙されない」なんてのは本人の気持ち次第でしかない。全ての人に対応する絶対的な物差しなんて存在しないのだから。もっと言うと、例えばどっかの宗教団体で高価な壷を買ったとして本人がそれで幸せな気持ちになれるのならそれはそれでアリじゃないかと思う。その人の心はその人のものなのだから。外から他人が物差しで測る事は出来ない。

だから僕は、誰かに騙されることを恐れて窮屈に生きるぐらいなら、たとえ騙されていたとしても楽しく生きるほうを選ぶ。

職業欄はエスパー / 森達也

職業欄はエスパー / 森達也 2008.10.20 Monday [読書] comments(0)
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西の魔女が死んだ / 梨木 香歩

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とても素敵な本だった。
妻がこの映画を是非観たいと言うのでまずは原作を読んでみた。ページ数も少なく、やさしく平易な文章なので非常に読みやすい。ものがたりの持つやさしさが文体のやさしさに表れているのだろう。
学校生活に悩む中学生の女の子が、森の中で暮らすおばあちゃんの家に2ケ月だけ滞在するというおはなし。自然とともに暮らすおばあちゃんが実に生き生きと描かれている。それはひとつひとつの家事を恵みを出来事を丁寧に紡ぐこと。幸せって何だろうと考えたとき、おばあちゃんのすがたはひとつの答えを示してくれる。
辻信一らが提唱している“スロー・ライフ”の本質的なすがたがここにあると思うのだ。美しい木々の緑と、おばあちゃんと孫娘の交流という心あたたまるストーリーは、まさに『スロー・イズ・ビューティフル』を具現化したものであり、生きるということの本質をも考えさせられるものだ。とにかくおばあちゃんが素晴らしい。地に足をつけて、しなやかで機智に富んでいてやさしくて。幸せの価値観は人それぞれかもしれないが少なくともぼくはこんなふうに生きたいと思う。

4101253323西の魔女が死んだ (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社 2001-07

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西の魔女が死んだ / 梨木 香歩

西の魔女が死んだ / 梨木 香歩 2008.06.24 Tuesday [読書] comments(0)
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いのちの食べかた / 森 達也

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本書を知ったきっかけは、焼き菓子しょかんさんのWEBで紹介されていたのを見て。ぼくたちがふだん食べているお肉はどこから来るのか。知っているようで実は知らないそのしくみ。

中学生以上を対象とした書籍なのでページ数も少なく、漢字にはルビ付きで、読みやすく書かれている。でも内容はとてもディープだ。メインとなるのは、肉がスーパーに並ぶ前の段階すなわち屠殺場での作業風景。取材の様子が淡々と書かれる中にはある意味残酷な描写も出てくる。

話はそれだけに留まらない。
なぜ屠殺場という工場が、ぼくたちの目に触れることの無い存在として扱われているのか。それは「差別」に関わってくる問題だ。

465207803Xいのちの食べかた (よりみちパン!セ)
森 達也
理論社 2004-12

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ぼくは本作を読んでからすっかり森達也という人のファンになってしまったのだが、その一貫した姿勢は本作でも充分伺える。見たく無いところを見ずに済ませてしまい、自らが無知ということにすら気付かない現代人の感覚はよく考えてみると恐ろしい。

メモ:ほぼ日の「よりみちパン!セ」特集

いのちの食べかた / 森 達也

いのちの食べかた / 森 達也 2008.06.10 Tuesday [読書] comments(0)
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さようなら、ギャングたち / 高橋 源一郎

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いやあ、おもしろかった。
高橋 源一郎 伝説のデビュー作。

内容や意味、メタファー云々を考察するには
一読しただけでは足りないだろうからそこには触れない。

意味が分からずとも、この小説には不思議な魅力が在る。
とにかく「読む」行為そのものを存分に楽しめた。
文学にふれるヨロコビ。とはこういう体験を言うのだろう。

詩的で軽快な言葉のリズム。
そのリズムに乗って、時間や空間から解き放たれたサイケデリックともいえる自由な世界。
町田康、村上春樹、サリンジャーの作品に近いものを感じた。

詩的で比喩的な文体であるから、何度も読み返したくなる。
そして、読む度にちがった感じ方が出来ると思う。

4061975625さようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫)
高橋 源一郎
講談社 1997-04

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ところで高橋源一郎といえば、テレビでちらりと見かけるイメージから、競馬好きの下世話なおっさん、くらいの認識しかぼくは持っていなかったのだが、そういう先入観って大きいなというか、もちろんテレビでの姿もひとつの側面であるわけだけど、なんでもそうだけど人間は物事の一部分しか見えていないというか、でも全てを知るなんて事は不可能だからそれはそれで仕方がないんだけど、それで全てを知ったふうに判断してしまうのはちょっと勿体ないというか、自分で世界を狭めている事になってしまうんじゃないかと。
要は、読んでよかったなあと、そういうことです。

さようなら、ギャングたち / 高橋 源一郎

さようなら、ギャングたち / 高橋 源一郎 2008.02.08 Friday [読書] comments(0)
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猫にかまけて / 町田康

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生粋のパンク歌手でありパンク文士であるマチダさんの意外な顔が見える一冊。同居する猫たちについての徒然を綴った随筆であるが、マチダさんの猫バカっぷりが可愛い。ふだん人を食ったような理知的変態的な文章をお書きになるマチダさんが、こと猫の前ではこのように素直になってしまうなんて。中でも、小さな命を終えようとするヘッケをなんとか救おうと懸命の介護を続ける町田夫妻のすがたがあまりに真っすぐであり、涙を禁じ得ない。マチダさんがこんな感傷的な文章を書くことが意外だった。ぼくは猫が好きではなかったが、猫って可愛いヤツなのかも、と思うに至ったのであった。

4062758954猫にかまけて
町田康
講談社
2010-04-15

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猫にかまけて / 町田康

猫にかまけて / 町田康 2008.01.27 Sunday [読書] comments(2)
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悪人 / 吉田修一

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ずっと気になりつつも、内容がかなり重そうで躊躇していた一冊。
確かに重かったが、420頁を一気に読破させてしまう筆力であった。特に後半〜ラスト、頁を捲る手を止める事が出来なかった。
凄い。
この読後感は何なんだろうか・・・。

これまでの吉田修一のカラーであった、つかみどころの無さ。から一転。
圧倒的な生々しさを感じさせる小説。やるせない孤独感を抱えながら地方に在住する登場人物たちの行動が、セリフが、心象が、おそろしくなってしまうほどに生々しい。一件の殺人事件が軸になるのだが、犯人は前半で既に示唆されており、事件を回想するかのように事件に関わった人間たちの、それぞれの視点からの情景が淡々と描かれる。その視点(チャンネル)の切り替えの多さと、前半〜中盤まで漂う閉塞感に、途中で投げ出しそうになってしまったが、中盤以降の展開が怒濤。家族、親友、同僚、知人、メル友。誰もが相手の本当の気持ちを知る由も無い・・・。いつのまにか、祐一の気持ちを、行動の理由を知りたくて頁を捲る自分がおりました。タイトルの「悪人」が示唆するところは最後の最後の一文に表れている。そこに全てが集約されている。

402250272X悪人
吉田修一
朝日新聞社
2007-04-06

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火サスと恋愛小説と夏目漱石を一緒に読んだような。

悪人 / 吉田修一

悪人 / 吉田修一 2008.01.26 Saturday [読書] comments(0)
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スロー・イズ・ビューティフル―遅さとしての文化 / 辻信一

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このタイトルに全てが集約されていると思う。本書を読む前と後ではこの言葉の持つ意味がまるで違ったものに聞こえると言ったら大袈裟だろうか。少なくともぼくは、「スロー」という言葉が持つ大きな可能性、本来持っていたはずの悦びを読み取る事ができ、目から鱗が何枚も落ちた。本書は、既存の価値観への強烈なカウンターパンチでもある。


“100万人のキャンドルナイト”の発起人としても知られる文化人類学者、環境運動家の辻信一。

「環境運動」というと、昨年ノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア氏による「不都合な真実」に代表されるように、現代科学による地球破壊というシリアスな側面ばかりがクローズアップされる事が多い。今まで好き勝手に暮らしてきたわたしたちは地球を壊してしまった。だからわたしたちはこれ以上地球が壊れないように、地球を守らなければならない。全くもってその通りである。ただ、最近の異常なほどのエコ・ブームには少し違和感を感じる。エコをしているという自己満足で終わってしまう(そしてそれに気付かない)という罠に陥ってしまう可能性があるからだ。あるいは単なるマーケティングとして利用されているだけのものもあるだろう。エコな新製品を買って、本当にそれをずっと使い続けるのだろうか。ブームが去ればまた新たなものが欲しくなるのでは。今まで知らなかった事を知り、エコに関心を抱くのはとても意味のあることだと思うが、過度な流行は一抹の危険性を孕んでいることも頭に入れておきたい。

以前、TBS「情熱大陸」に出演しているのを見たが、辻信一という人は、ナマケモノを抱っこしたりして、のほほんとした印象のおじさんだ。「がんばらない」の提唱からも分かるが、確信的にそういう印象を与えているのだ。地球環境に関しては誰よりも危機感を抱いているはずなのに、いたずらに危機感を煽るようなことはしない。まずは自分たちが楽しまなければ、とうのが大前提にあるからだ。ここが大事なところで、実はとても本質的なことだと思う。

スロー・ライフというのは走り続けていると見逃してしまうような、些細なことなもしれないが生活の中のひとつひとつの小さな喜びを楽しむということにこそ、本質がある。他愛も無いことに思えるかもしれないが、ここにこそ価値観の大きな転換が隠されている。経済最優先で当たり前のように一律に沁み込んだ“幸福のイメージ”からちょっと目を離してみる。そうすると意外にもたくさん身の回りには楽しいことがあることに気付くはずだ。そしてそれは一律で測れるものではなく、個人個人の感性に委ねられるものであるはず。それは多様性を知り認める合うことにも繋がる。価値観にしろ常識にしろ、決まった正解があると思い込むことは、「〜するのが当たり前」となり「〜しなければならない」ことになる。他者に対しては排他性となる。義務感でするエコに発展性は無い。ぼくたち自身が喜びを感じながら、それが日常となり実生活に根付いていくことが、なにより重要なことだと思う。それは各々が考え、感じるものだと思う。


4582702333スロー・イズ・ビューティフル
―遅さとしての文化

辻 信一
平凡社 2001-09

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スロー・イズ・ビューティフル―遅さとしての文化 / 辻信一

スロー・イズ・ビューティフル―遅さとしての文化 / 辻信一 2008.01.05 Saturday [読書] comments(0)
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ブラック・マシン・ミュージック / 野田努

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野田努というオトコの、デトロイト・テクノに対する造詣と愛情の深さは比類なきほどに深遠である。圧倒的なボリュームはもちろん、細部まで取材と洞察の行き届いた本書を読みそう強く思った。


デトロイト・テクノのオリジネイターといえばデリック・メイ、という程度の知識しか持ち合わせていなかった僕にとって本書で語られるデトロイトの歴史は非常に興味深く、それはデトロイト・テクノ、いや「テクノ」に対する認識を変えてくれるドキュメンタリー(記録書)であった。例えばメイの他にホアン・アトキンス、ケヴィン・サンダーソンというオリジネイターがいるという名前だけは知っていたが、その3人の生い立ちや各々の係り合いまで知る由はなかったし、デトロイトという街が持つ空気、時代背景、シカゴ・ハウスとの関わり、そういったバックグラウンドを知ると、「テクノ」という音楽が、デトロイトという土地で鳴らされるべくして鳴らされた音であることがわかる。それは音楽にしか希望を見出せなかった者たちの怒りと反抗の表現である。と同時にインテリジェントでもあり、であるからこそ非常にロマンティックな音楽でもあるのだ。

ブラック・マシン・ミュージック / 野田努

ブラック・マシン・ミュージック / 野田努 2007.11.11 Sunday [読書] comments(0)
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フェルマーの最終定理 / サイモン・シン

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気になっていた本が文庫版になっていたのでさっそく購入。これはおもしろい!
名著・名映画『博士の愛した数式』以来、「数」の持つ神秘性・完全性に興味を持ち、数学というものに対する認識を改めさせられたワタシにとって、本書もまた数学のおもしろさを伝えてくれる格好の書となりました。数学とはすなわち真理の探求、美の追求。宗教や哲学と同様に、数学もまた真実を探求しようとする人間の好奇心・執念だったのですね。そして言語を超えた「数」なるものの神秘性。数は人間が作り出した概念ではなく、世界が誕生する以前から「数」は存在していたという。この視点にわたしは目から鱗でしたよ。だから数は完全性を持つのですね。芸術や自然と同様にただただ美しいものだったのですね。すごい。


ピュタゴラスの時代から始まり、17世紀にフェルマ−が残した数学史上最大のなぞなぞは300年もの間、多くの数学者を悩ませてきたそうです。決して解かれる事のないその難問に、果敢に挑んでいった数学者たちの姿を追ったドキュメンタリー。数学書というよりは歴史書ですねコレは。いたずら好きで偏屈だったというフェルマ−の人間像も興味深く描かれています。数々の数学者が挑んでいった軌跡とそこに生まれる人間ドラマ。そう、この真理探究の道程には時代を超えた様々なドラマがあったようなのです。難しい数式を使わずに、数学者の内面にスポットを当てた著者の筆力は素晴らしいです。思わずグングン読んでしまいます。そして300年を経て遂に証明されるその瞬間。読者までもがその歴史の一部になったような感動と高揚感が迫ります。
文系理系を問わず必読の名著。

フェルマーの最終定理 / サイモン・シン

フェルマーの最終定理 / サイモン・シン 2007.11.11 Sunday [読書] comments(0)
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