「歩くスピード」について Walking In The Rhythm / Fishmans + UA

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2013年3月11日。黙祷を捧げる日。

ちょうどその時間あたりに、ぼくはこの曲を聴いていた。
フィッシュマンズの名曲をUAが歌う。



歩くスピードを落として いくつかの願いを信じて
冷たいこの道の上を 歌うように歌うように歩きたい

WALKING IN THE RHYTHM
この胸のリズムを信じて
WALKING IN THE RHYTHM
歌うように歌うように歩きたい

(WALKING IN THE RHYTHM / Fishmans 歌詞より)


このライブパフォーマンスの素晴らしさだろうか、それともこの曲が持つ魅力だろうか、あるいは3.11という日付がそう意識させるのか。ぼくにはこの歌が、まるで祈りのように聴こえた。亡くなった人々への鎮魂歌というよりは、残された者としての勝手な願いという意味での祈りだけれども。

3.11を堺に、ぼくたちを取り巻く世界は変わった。正確に言うと、強制的に変わらざるを得なくなった人(その多くは望まざる生活を余儀なくされている)、それから自らの意思で変わった人、いま変わろうとしている人、そして変わらない人(変わりたくない人、無関心な人)とに分かれた。追悼の日には黙祷を捧げるけれども、それ以外は震災前とほとんど変わらないという人が多数派なのかもしれない。ぼくだって実際の生活はほとんど変わっていない。

「歩くスピードを落として」

震災後に残されたぼくらが直面しているのは、歩くスピードの問題。
復興は急ピッチで行われているようにも、ほとんど進んでいないようにも見える。復興予算が計上され、復興バブルとも言えるような建築ラッシュに沸く一方で、実際に被災地で生活をする人々が以前のような暮らしを取り戻したという話は聞かない。復興に向けて知恵をしぼり力を合わせて現地でがんばる人たちの姿。と同時に、いまも避難生活を続ける人々も数多くいる。復興と一口に言っても、同じ物差しでは測れない。政府が進める復興プランと、被災地の人々の願いとの間に、歩くスピードの差はないか。

原子力発電所が存続するのはそれが軍事目的だからかもしれない。けれども、そのためのタテマエとして語られるエネルギー問題。ぼくらが歩くスピードを落とすならば、原発は要らないかもしれない。

何かに追われるように、一分でも早く、一円でも安いものを追い求めてきた消費社会。そのニーズに応えて、店頭には画一的できれいな商品とマニュアルが陳列された。それらは、ほんとうに必要なモノだったんだろうか。歩くスピードを落としてみると、案外、足もとに小さくてきれいな花が咲いていたことに気付くかもしれない。石ころの裏に潜むダンゴムシの生態にじっと目を凝らすかもしれない。声なき声が聞こえるかもしれない。それらは実社会において「役に立つ」ことではないかもしれないけれども。

中田雄一さんのツイートより
120円の缶コーヒーを毎朝買う人は多くても、120円のお花を毎朝買う人は多くない。 それが、逆さになったら、きっと、おもしろい。


n0ri (Super Soul) ✅さんのツイートより
キューバに行った時、まぁみんなのんびり暮らしていて列車は平気で2日ぐらい遅れるしw でも誰も文句言わない。車だってクラシックカーのオンパレードで一度買ったら買い換えないんだな。動けばいいいでしょ?って当たり前の考え。 だからホームレスもいない、失業率もゼロ。医療もタダ。



Fishmans
ポリドール
発売日:1997-10-22



亡くなった方15880人。行方不明の方2694人。今も避難生活等をされている方約31万5000人。(2013年2月27日現在 警視庁発表)

福島第一原発からは現在も放射性物質が放出され続けている。それが、どれだけ実害を及ぼすものであるのかは 依然として分からない。ふるさとに帰れる人、帰れない人。自主避難を続ける人。それらを巡る意見の対立。それぞれの決断と、分断。いちど、歩くスピードを落として溝を埋めることはもはや不可能なのだろうか。

歌うように歩ける日は来るだろうか。


「歩くスピード」について Walking In The Rhythm / Fishmans + UA

「歩くスピード」について Walking In The Rhythm / Fishmans + UA 2013.03.11 Monday [音楽・映像] comments(0)
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