なまはげの潜在的需要

 このエントリーをはてなブックマークに追加 TOPSY
前回の記事で「なにも願わない手を合わせる」なんてことを書いたが、ぼくはそのように「削ぎ落とされた姿」にはなれそうにもない。なにかを願わずにはいられないから。子どもができてから、なによりもまず家族の安寧を願うようになった。

というと聞こえはいいが、実際の子育ての現場は戦場である(特に男児の暴れん坊ぶりにわが家はいつも修羅場ラバンバ)。ツイッターで愚痴でもこぼして同じように苦労されている子育て世代の方々と共感しなければやってられない。

子どもが2歳をすぎる頃から、こう感じることが多くなった。

子育てに必要なもの
1. 忍耐力
2. 寛容力
3. 鬼(お化け可)

鬼にはほんとお世話になっている。
子どもが言うことをきかなくて困り果てたとき、最終的にはいつも鬼にご登場願う。なにも願わずに手を合わせる暇などない。一刻もはやく恐ろしい鬼が聞き分けのない子を諌めてくれることを願う。まあなんと自分勝手な願いであろうか。

「鬼来るよ」

この台詞がこれほどの効果を発揮するとは。子どもが0歳の頃、ぼくたち夫婦は育児漫画『ママはテンパリスト』を読みげらげら笑っていた(この漫画はほんとうにおもしろいよ)。鬼がのり移ったという設定で迫真の演技を見せる東村先生の姿や、それを本気で怖がって泣くごっちゃんがなんとも可笑しく愛らしいなあと思っていた。しかし、しかしである。わが子が2歳となるあたりからまさかわが家にもこんなに頻繁に鬼が来ることになろうとは。そして鬼の効果がこれほど絶大だとは。

鬼ありがとう。鬼こわくてありがとう。
鬼なしの生活なんて考えられない。神話の国ニッポン。


鬼をも超える(らしい)なまはげ

そんなことをふとツイッターでつぶやいたら、なんと上には上がいるものである。こんど秋田からなまはげのお面を取り寄せするというママがいた。ぶっ。なんと本格的な。そ、そんなにですか。面をお取り寄せして活用する夫婦の光景を思い浮かべて笑ってしまうとともに、いま息子は2歳3ヶ月だけど(そのママの息子はわが家の息子より半年ほど年上である)、これからそんなに手に負えな度が増していくのかと末恐ろしくも思った。

さらに、なまはげの画像をプリントアウトして触ってもらいたくないところに貼ってるという人も。効果は絶大だそうだ。なんだなんだ、なまはげってこんなに育児シーンに出没するものだったのか。知らないのはぼくだけだったのか。

ところでなまはげってどんな顔してるんだっけ、と思い画像検索してみた。


(画像はなまはげ館より)

こわすぎ(笑) こりゃ泣くわ。

なまはげの需要を肌で感じた。


なまはげとは

そういえばなまはげの行事ってなんとなくしか知らない。子どもの頃、秋田県(能代市)に住んでいたことはあるが、家になまはげは来なかった。さて、これからなまはげにはなにかとお世話になるんだから、いったいどんな奴なのか知っておくのが礼儀だろうと思い、この機会にぐぐってみた。

なまはげ館より
ナマハゲ行事は毎年、大晦日の晩に男鹿半島のほぼ全域で行われます。ナマハゲは真山・本山に鎮座する神々の使者と信じられており、年に一度各家庭を巡り、悪事に訓戒を与え、厄災を祓い、豊作・豊漁・吉事をもたらす来訪神として「怠け者はいねが。泣く子はいねが」と練り歩く、古くから伝統を受け継ぐ民俗行事です。昭和53年に「男鹿のナマハゲ」の名称で国重要無形民俗文化財に指定されています。

どうやら鬼じゃなくて神々の使者らしい。厄災を祓い、豊作・豊漁・吉事をもたらす来訪者として、来訪を受けた各家では丁重にもてなすとのこと。なまはげ 男鹿半島に伝わる民族行事 - あさかぜネットには、なまはげ由来として4つの説が載っている。

それらの説は説として、しかしこの行事が今日まで受け継がれているほんとうの理由はこれじゃないだろうか。

なまはげ 男鹿半島に伝わる民族行事 - あさかぜネットより
子供にとって、これほど恐ろしい事はありません。
これを体験した後は、子供が言うことを聞かないときに、「なまはげ」というキーワードを口にするだけで、約99% の子供は言うことを聞くようになるといいます。


ちょ、99% って。
しかもキーワードを口にするだけでですと。

ふむ。子どもにとって、これほど恐ろしいことはないでしょうが、大人にとって、これほど便利なことはありません。効能は約1年間なんでしょうか。夢のようですな。

なるほど、だからなまはげのお面はこんなに恐いのか。節分の時期に巷にあふれる鬼のチャラチャラしたお面とは格が違う。職人さんが精魂込めて作っているのが伝わってくる。なぜなら、なまはげのお面は恐ろしくあれという、子を持つ親たちの潜在的需要があるからなのだ、きっと。

そしてそんな潜在的需要は全国至るところの親たちにも大いにある。
なまはげ、日本全国的にやったらいいんじゃないか。

そんな、恐怖で言うことをきかせるなんて、それでほんとうにいいんですか、と子来先生に聞きたい気もするが、でもムリだ。もうぼくの心はなまはげの虜になっている。なまはげさま〜、どうか〜。なまはげさま〜。寝室からそんな声が聞こえてくる日も近い。


世界のなまはげ

おまけ。
「なまはげ」でぐぐっていたら、こんな恐ろしいものを発見した。
気絶するほど恐ろしい! 北欧の「なまはげ」は大人もビビるレベル - ロケットニュース24

やること一緒じゃないですか(笑)





追記(3/16)
コメント欄にて珍説を披露してくれた愚樵さんが関連記事を書いてくださった。
霊から貨幣へ(6)〜〈霊〉の潜在的需要 その1 - 愚樵空論

おもしろいので次のエントリーにて。

なまはげの潜在的需要

なまはげの潜在的需要 2012.03.14 Wednesday [子育て・教育] comments(2)
このエントリーをはてなブックマークに追加TOPSY
愚樵 (2012.03.15)

山やまさん、こんばんは。

面白いなぁ。

面白さに誘われて、珍説を披露。笑。

人間は彼岸より来て此岸にいたり、彼岸へと返る。

子どもって言うのは彼岸に近い存在ですよね、大人よりずっと。中国ではお化けは「鬼」になるらしいですが、いずれにしても両者は彼岸の存在。これから此岸の只中へ向かおうとする子どもは、彼岸の存在であるところの「鬼」を恐怖する。

が、彼岸の只中へ来てしまうと、つまり、大人になると「鬼」はあり得ない遠くの存在になって、恐怖の対象でなくなる。

おお、そういえば『涼宮ハルヒ』のオープニングがそんな話でしたね。(ご存知ですか?)

と、書きながら新たなブログ記事の構想が湧き上がってました。〈霊〉の話です。また、こちらの記事を拝借させていただきますので、よろしくです。

では、お休みなさい。

山やま (2012.03.15)

あはは、半分おふざけの記事をおもしろがっていただきありがとうございます(自分でもこのエントリーは好きですw)。

思いきり世俗的な視点で書きましたが、愚樵さんの解説が入ると一気に哲学的になりますね。おもしろいです。

ハルヒはわかりませんが、高橋源一郎さんの「悪と戦う」がまさにそんな(彼岸の)小説でした。

新たな空論たのしみにしています。










url: http://yamachanblog.under.moo.jp/trackback/409
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...